前回はNotionで議事録を作り、アクションにつなげていく流れを説明しました。しかしミーティングの質は事前準備、主にアジェンダによって左右されます。
前回お話したとおりプロジェクトリーダーが直接的に影響を与えられる同期的なコミュニケーション手段がミーティングです。つまりミーティングの質を上げることはプロジェクトの質を上げることに直結します。アジェンダの質によっては1週間で解決する問題もだらだらと何カ月も放置されるということがありえます。
質の高いミーティングにするためには以下の三点が必要です。
- ミーティングの目的を決める
- 参加者の役割を決める
- アジェンダを共同編集して準備する
ミーティングの目的を決める
ミーティングには主に四つの役割があるといわれています。
- 情報の伝達(一方向)
- 情報の共有(議論等双方向)
- 意思決定
- 創造(ブレインストーミング等)
目的に関してはリーダーにとってはごく当たり前のことかもしれませんが、何度もメンバーに共有する必要があります。このすれ違いがあるとこのようなことが起こりえます。
- リーダーは意見が欲しい(創造)けれどもメンバーは聞くだけでいいと思っていた(情報の伝達)
- メンバーは意思決定してくれると思っていたけれども、リーダーは意見を集めることに集中したかった(創造)
- リーダーは情報を伝達するだけでいいと思っていたけれども、メンバーは現場での混乱を共有したかった(それなのに発言の場をくれなかったと感じた)
また目的に応じてミーティングの規模も考える必要があります。情報の伝達であれば極端な話何千人にでも話すことはできますが、意思決定に関しては少数かつ熟知したメンバーが必要です。ブレインストーミングは少数かつ幅広いメンバーが必要かもしれません。
まずはNotionでミーティングの目的が一目で分かるようにしましょう。
まずアジェンダ・議事録のページを開きます。
プロパティに「目的」を追加します。
目的は「マルチセレクト」できるようにし、アジェンダを作成する際に必ず記入するようにします。
アジェンダ・議事録に向いているレイアウトは「リスト」です。無駄な情報を省いてすっきりと一覧で見ることが出来ます。ここで必要な情報は
- プロジェクト名
- 目的
- 日付
- 参加者
です。この一覧で見た際にかならず「目的」が記入されていることを確認し、またアジェンダや参加者を決める際にもこの目的に即しているかを確認しましょう。
参加者の役割を決める
良いアジェンダはミーティングの前にメンバーを動かします。アジェンダの中で自分が発表するものがあれば当然その準備をしますし、ミーティングまでに一定の成果を出そうとすることもあります。
しかしミーティングには発表者以外にも下記を設定して、ローテーションで担当させることも有用です。
- 司会
- タイムキーパー
- 議事録
まず司会についてはリーダーがやるのがスムーズと思う方もいらっしゃるかもしれません。特に情報の伝達や意思決定など効率的なミーティングにおいてはその場合もあります。
ただ、司会の役割を振られたメンバーは一時的ではありますが、全体に対して理解をしなければという思考が働くので疑似リーダー体験をしてもらうのにちょうど良い経験です。
またタイムキーパーは誰でもできますが、特に発言する機会の少ない新人等に任せ、主体的にかかわるきっかけをつくるのも良いでしょう。また「タイムキーパーだから仕方なく時間を告げている」という体をとることで司会が進行しやすくなります。一番簡単なのはスマホでタイマーを設定させ、時間になったらアラームがなるようにすることです。アラームは勝手に鳴るので、「途中で止められて気分が悪い」という気持ちにもなりづらいです。
議事録は最も重要なパートです。人は話したことを忘れます。メンバーが費やした時間はタスクという具体的なアウトプットがあって初めて意味を持ちます。議事録係もローテーションさせる必要がありますが、議事録係が発表する、または意見する際には予備のもう一人を準備しておきましょう。自分が発言しながら議事録を残せる人はいません。
アジェンダ・議事録のカードに司会・タイムキーパー・議事録係のプロパティを追加し、メンバーを記入できるようにしましょう。
アジェンダを共同編集して準備する
アジェンダの目的が情報の共有やブレインストーミングであった場合、リーダーが全ての議論すべきポイントを把握していない場合があります。また意思決定についても、最終的に決定する前に必要なインプットがあるかもしれません。
基本的には参加者にはアジェンダを編集可能にしておき、アジェンダを追加できるようにすることをお勧めします。ただし、当然すべての事柄を話すことはできませんし、優先順位はリーダーが決定すべきです。
具体的にはこのような進め方があります。
- テーブルでアジェンダを作成
- アジェンダをメンバーに共有。話すことがあれば追記できるようにする。(その際、必要な時間も追記してもらう)
- 議題の順番はリーダー、もしくは司会が入れ替える(ミーティングの目的や重要度によって誰が優先順位を決めるのかは事前に決めておく必要があります)
- 議題が多い場合最低限どこまで消化したいかをミーティングの最初に共有しておく
共同編集させるメリットは下記のようなものがあります。
- リーダーが見えていない問題が可視化しやすい。
- 性格上発言しにくいメンバーからも意見を吸い上げやすい
- お互いの必要な時間が見えるため、自分の話す時間を遵守しようという思考が働きやすい
- 何かあったらとにかくミーティングに持っていく、というリズムができればプロジェクトのボトルネックを解消するテンポが速くなる
などです。デメリットに関しては情報が多くなり重要なものが見えづらくなる、というものがあるかもしれませんが、これは事前のリーダーの優先順位付けで対処できるものです。
また、議題がない場合は積極的にスキップしましょう。集まる必要がないのはある意味でグッドニュースです。プロジェクトの進行を止めるものがないのであれば生産的な時間に費やしてもらった方が有益です。
何度もスキップされる場合は頻度を減らしたり、他のミーティングと統合するなど対処していき、常に最適化していく必要があります。これはプロジェクトのフェーズによっても変わるのでリーダーのセンスの問われるところです。この頻度を考えるためのバロメーターとしてもアジェンダの共同編集は有用です。
アジェンダは汎用的。営業活動にも活用しましょう!
ここまでプロジェクト管理におけるアジェンダについての話をしてきました。Notionではプロパティをカスタマイズすることができるため、重要な項目を必ず記入させるということができます。今回の説明では
- 目的
- 役割(司会・タイムキーパー・議事録係)
をプロパティに設定し、リストの一覧で見えるようにしました。この項目を本文に書かせずにプロパティで設定する理由はフォーマットが統一できるので記入漏れ・揺れが防ぎやすいのと、あとからグルーピングしたり様々な操作ができるためです。
さて、当然ですがアジェンダはあらゆるミーティングに有用です。そして最もミーティングの質に影響される職種といえば営業でしょう。次回はプロジェクト管理を離れ、営業活動における案件管理とアポイントメント管理について説明します。