株式会社バレンサー

[中級編] Notionで組織DX:営業管理 属人的にならない商談のデジタル化

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前回はプロジェクト管理におけるミーティングを活用するためのアジェンダについて説明しました。
今回は同じアジェンダの応用編として営業管理における商談の準備にどう活用できるか説明したいと思います。

集中する

重要なポイントは前回と似ていますが下記の点です。

  • 目的を決める
  • 会話の流れを決める
  • 必要な資料を集約する
  • 他者の意見を取り入れる

私が元いたリクルートという会社では営業は事前準備で決まるといつも言われていました。そのため、新人に限らずすべての営業が顧客先にプレゼンをする前に上長もしくは制作や同僚にお願いして「レボ」というミーティングを行っていました(しかし誰もこの名前の由来を知りませんでした。笑)

上記はまさにそこでよく言われた下記のような言葉がベースになっています。

  • 「お前は先方にいって何がしたいの?」(目的)
  • 「先方はどうしたらYESと言ってくれるの?」(会話の流れ)
  • 「ヘラ(社内システムの顧客情報)見せて。3C見せて。話はそれから」(必要な資料を集約する)
  • 「俺なら●●っていう部分に違和感があるなあ。先方に聞いてみた?」等(他者の意見を取り入れる)

今ではNotionを使って上記のようなことがもっと網羅的に行うことができると感じます。特に、古巣を貶めるわけではまったくありませんし、おそらくリクルートのOBの方は共感すると思いますが、当時は引継ぎ資料がかなり属人的で、渡される資料が全くないということもありました。その割には担当変更は頻繁で3か月で次の営業に交代ということもありました。その時は「新しい目でこそ見えるものがある」と上長に説得されましたが、それでも今までの経緯や以前の営業とのやりとり、提案してきたもの、得てきた情報というのは全て蓄積されている必要があると思います。

今回はNotionで営業の現場をDXしましょう。

目的を決める

これはNotionのカードに真っ先に書かせ、営業に自問させる必要があります。顧客のところに行って何をしたいのか。こちらもNotionのプロパティで「セレクト」を選んで設定する必要がありますが、具体的には下記のような選択肢があると良いでしょう。

  1. 情報提供
  2. ヒアリング
  3. プレゼン
  4. クロージング
  5. 問題解決
  6. フォローアップ

これは営業のフェーズで管理したいかもしれませんが、アジェンダベースで目的は設定することをお勧めします。なぜならクロージングのあとに追加ヒアリング・プレゼン、その合間に情報提供などが必要な場合もあり、フェーズで管理できるものではないからです。

ここで「何がしたいのか」がざっくり決まっても営業はさらに目的を肉付けする必要があります。これは本文のところで自分が納得する文章に落とし込むのが良いでしょう。上長はここがしっかりしていない場合「で、結局何しに行くんだ?何したいんだ?」と煮詰めることでこの後の全てが変わってきます。

会話の流れを決める

リクルートではロールプレイングで先輩社員のトークを盗む、ということをやっていましたが、今はNotionにおいてテンプレートという形でそのトークを共有することが出来ます。空のドキュメントを作成するときにテンプレートの作成ができる項目が表示されます。

テンプレートの作成

ここでいう会話の流れは基本的には質問や解決策の提案のリストです。

社内でテンプレートがある場合はそれをベースにNotionのテンプレートに登録し営業が呼び出せるようにする必要があります。ない場合は社内でロールプレイング大会などを開催して良いトークを集約するのが良いでしょう。

具体的なアポの準備においてはこのテンプレートをベースに上記の目的をどう達成できるか、また顧客の性格や先方が何を望んでいるのかを念頭に置きながら肉付けしていきます。同行者がいる場合はどちらがどの部分を話すのか、どういう役回りを演じるのか(良い警官・悪い警官ほど極端でなくとも、顧客の腑に落ちやすい流れをつくるために役回りのすり合わせは重要です。)

役割を演じる

必要な資料を集約する

最近は全てクラウドに保存されているかもしれませんが、そのリンクを必ずアジェンダに貼っておきましょう。クラウドのフォルダは便利ですが、時に情報量が多すぎてどの資料が今回関係しているのかわかりづらいケースがあります。

資料を紐づける

特に同行者がいる場合、事前準備に時間をかけずに文脈ややりたいことなどを共有する必要があります。これもNotionであればある程度非同期的に行うことが出来ます(非同期型コミュニケーションについてはこちらのブログを参照)

また、私がリクルートにいたときにはどんなアポでも常にまとめておくべき情報がありました。顧客情報(取引履歴等)、3C(先方における自社・顧客・競合の相関関係)はかならず用意する必要がありました。こういったものがある場合はNotionのプロパティに追加し、必ず記入させるようにしましょう。

他者の意見を取り入れる(共同編集する)

私がリクルートにいたときは伝説のような営業マンやコンサルがいて、その人の力を借りれるかどうかが勝負な場面も多くありました。当然その人のスケジュールは奪い合いです。しかし、いざ同行してもらうと彼らはすぐに論点を割り出し、必要な項目だけ聞いて時には顧客に自己クロージングさせるということをしていました。

確かに話術やキャラクター、信頼性によるものも多いのですが、彼らの視点で商談のアジェンダを見てもらい、修正してもらうだけでもかなりの価値があったと思います。

協力を得る

Notionでは上記の情報をまとめておけば同行しない人にも非同期で現状共有できアドバイスを請うことができます。アドバイザーはテキストをハイライトしてコメントを残すことができ、またそれに対する返信もできるため、具体的なポイントについて効率よく議論することができます。(メールやチャットでのやりとりだと「一段落めの〇〇という部分ですが…」などどの部分についてのアドバイスかを述べる必要があるため冗長になります。)

MBWA(マネジメント・バイ・ウォークアラウンド)をリモートでも

今回のブログはかなりリクルート時代の思い出に影響されていますが、最後にもう一つだけ共有させてください。

夕方会社に帰ると決まって部長が歩き回っていました。かなり怖い部長だったのでそっと息を潜めていましたが、あちらこちらを練りまわってやはり私のところにもきてちょっかいをかけてきます。

いざ自分がマネジメントする立場になると、この歩き回る方法にはMBAW (マネジメント・バイ・ウォーキングアラウンド)という名前があり(米大統領リンカーンが南北戦争の際に前線を歩いて情報収集していたことが始まりとされ、「アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方」という書籍で紹介されています。)とても有効だと気付かされました。やはり重要な情報は現場のちょっとした会話にあるのです。

いざリモートワークがメインになると、まさにこの方法が通用しなくなります。そんなときに助けになったのがバーチャルに現場を歩き回ることです。つまり、Notionのタスクを見て回って、褒めたり激励したりして回る。有用そうな情報や繋いだほうがいい人を繋ぐ。そうやってバーチャルに歩き回ってちょっかいをかけると、日報などでは出てこない情報も出てきます。

さて、上記の現場の情報をバーチャルに歩きまわって得ることができるのであれば、もう少し体系的に行いたくなります。具体的には個別の商談だけではなく全体の案件について網羅的に管理するべきです。Notionは案件や収益のヨミを立てることにも使うことができます。次回は案件、収益管理について説明します。

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