Notionでペルソナを無限に生成して短期間で大量の洞察を得る
マーケティングにおいて顧客理解は不可欠ですが、実際の人間にインタビューを行うことは時間とコストの面で大きな負担となることがあります。そこで登場するのが、生成AIを利用した新しいアプローチです。特に、地域通貨開発プラットフォームのようなプロジェクトでは、世界中の様々な背景を持つコミュニティマネージャーや開発者のニーズを理解することが重要になります。
顧客ペルソナの生成
今回の題材として、地域通貨を開発するためのプラットフォームのウェブサイトの作成プロジェクトを紹介します。
主な目的はこのサイトのどのページをどのように並べるか?特に地域通貨に関してはコミュニティマネージャーや開発者など目的の異なる人が見に来るため、それぞれにとってスムーズな動線を引く必要がありました。
ペルソナとしてはエコビレッジ、再生可能エネルギー、コミュニティガーデン、地域アートプロジェクト、地域食文化促進プロジェクトに従事するコミュニティマネージャーや開発者のペルソナを多様な国籍で生成しました。これらのペルソナには、個人的な背景、目標、課題などが設定され、よりリアルな顧客像を想定します。
ツール
Notion: データベース作成、AIによる生成
DALL-E3: ペルソナの画像生成(絶対必要ではありませんが、パット見でどんな人なのかイメージを共有するのにはとても有用です)
作成したペルソナ
まずは、プロジェクトごとにコミュニティマネージャーと開発者をそれぞれ作成しました。名前や来歴なども生成してもらっています。
具体的なペルソナの例
たとえばフランスのエコビレッジのマネージャー、パメラさんのページはこうなっています。
パメラさんの人となりを深く掘り下げるため、彼女の生まれ、来歴、そして現在の活動に至った動機について以下のように詳細を加えます。
生まれと来歴
パメラは、自然豊かな地方都市で育ちました。子供の頃から、彼女は周囲の自然環境と密接に関わり、地域コミュニティの重要性を身近に感じて育ちました。大学で環境学を専攻し、持続可能な社会の構築に対する深い理解と情熱を育んできました。卒業後、都市部での生活を経験し、そこで見た消費主義と環境破壊の現実に衝撃を受け、根本的な変化を志向するようになりました。
なぜ現在のような活動をしているのか
パメラがエコビレッジコミュニティのマネジャーとして活動しているのは、彼女が持つ深い信念と、自らの生活を通じて社会にポジティブな影響を与えたいという願いからです。都市部での経験を経て、彼女は地域社会と環境に優しい生活様式が、持続可能な未来への鍵であると確信しました。そこで、自分のルーツである地方に戻り、同じ価値観を共有する人々と共に、エコビレッジコミュニティを立ち上げました。
このコミュニティでの生活と活動を通じて、パメラは地域内での自給自足、資源共有、そして環境保護の重要性を実践しています。コミュニティ通貨に関心を持つようになったのも、このような生活様式をさらに推進し、地域経済を持続可能な方法で発展させる手段として、その可能性を見出したからです。
影響と目標
パメラは、エコビレッジコミュニティの成功を通じて、同様の価値観を持つ他の地域社会にもインスピレーションを与えたいと考えています。コミュニティ通貨の導入により、地域内での経済活動を促進し、外部の経済システムに依存しない自立したコミュニティのモデルを確立することが彼女の目標です。また、この取り組みを通じて、より多くの人々が持続可能な生活の可能性を理解し、実践することを願っています。
パメラの人生と活動は、持続可能な未来への強い信念と、地域社会の力を信じる心から動かされています。彼女は、一人ひとりが地球と調和した生活を送ることで、より良い世界を築くことができると確信しています。
動機
- カナは、エコビレッジコミュニティを通じて、持続可能な生活様式を促進し、地域社会の結束を強化したいと考えています。彼女は、地域内での循環経済を創出し、自給自足の生活を実現するために、コミュニティ通貨を有効な手段として見ています。
- 環境保護への強い関心と、地域社会の自立と持続可能性への貢献を目指す彼女にとって、コミュニティ通貨は地域内での資源の公平な分配と価値の交換を可能にする手段です。
直面している課題
- 地域内での経済活動が限られているため、外部の経済システムに依存している状況から脱却する必要があります。
- コミュニティメンバー間でコミュニティ通貨の採用とその価値を理解し、信頼することを促すための啓蒙活動が不足しています。
- 技術的な障壁があり、すべてのコミュニティメンバーがデジタル通貨のシステムを利用できるわけではない。
ステップ
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啓蒙活動と教育: ウェブサイトやソーシャルメディアプラットフォームを利用して、コミュニティ通貨の概念、利点、使い方に関する情報を提供します。オンラインセミナーやワークショップを開催して、疑問に答え、参加を促します。
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技術的支援: 技術的な障壁を克服するために、簡単にアクセス可能で使いやすいデジタルプラットフォームの開発に注力します。また、非デジタル参加オプションも提供し、すべてのコミュニティメンバーが参加できるようにします。
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パートナーシップの構築: 地域内外のビジネスや組織とのパートナーシップを構築し、コミュニティ通貨の使用範囲を広げます。これにより、地域経済の活性化と外部との連携が促進されます。
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実証プロジェクトの実施: 小規模ながら具体的な実証プロジェクトを開始し、コミュニティ通貨の実際の利点と運用方法を示します。成功事例を共有することで、他のメンバーの参加を促します。
AIインタビューによる洞察の獲得
次に、これらの生成されたペルソナに対して、地域通貨開発プラットフォームのウェブサイトに関するインタビューを行います。彼らは最初に訪れたいウェブサイトのページや、そのウェブサイトを通じて達成したいこと、直面している課題などを語ってもらいます。
さきほどのパメラさんはこのような結果でした。
概要やコンセプトが先に知りたいようですね。合わせて事例が必要です。
インタビューの文面はどうでしょうか?違和感はそれほどありませんね。確かにこんなことを思っていそうです。
注意点としては、当たり前ながら実際の人間に対してインタビューするほうが有益です。ただし、時間、コストの制約を考えるとほどほどの労力で大量の意見が収集できるのはありがたいです。
タグ化と集計による分析
文章を書いてもらうことはできましたが、これだと全て読んだとしても結局どのようにアクションに繋げればよいか分かりづらいですね。
そこでインタビューの回答はNotionAIを用いてタグ化し、集計します。このプロセスを通じて、どのページが最初に訪問されるべきか、また、ユーザーがウェブサイト内でどのように遷移していくのが最適かという洞察をある程度定量的に得られます。
あくまで全体感を得ることが目的なのでここで最もタグが多いものを自動的に採用するのではなく、タグが多いものから実際の文章を見て判断するというイメージです。
実践的な利点
- コスト効率とスピード: 実際の人間を対象にしたインタビューに比べ、時間とコストを大幅に節約できます。
- 幅広い視点の獲得: 様々な背景を持つペルソナを生成することで、より広範な顧客ニーズを理解できます。
- 柔軟なシナリオテスト: 特定の機能やデザイン変更が顧客体験にどのように影響するかを迅速にテストできます。
結論
Notionや生成AIを活用することで顧客理解を深め、よりユーザーフレンドリーなウェブサイトを設計するための洞察を得ることができます。
また、複数の人間が関わるプロジェクトであるほど、顧客理解のズレによって考え方がずれることも多いです。洞察を得るだけではなく、共通理解の基盤としてメンバーに共有するのも重要だと思います。
このアプローチは、特にリソースが限られているスタートアップや、広範な顧客基盤を持つ企業にとって、非常に有効な手法です。